ワールドトリガー

何よりもこの漫画が面白い点は”集団戦における戦略が現実的である”こと。基本的にこの漫画はトリガーという架空の武器を用いて戦うよくあるバトル漫画として書かれていますが、そのトリガーは万能ではなく、種類により性能や欠点が違いそれを複数組み合わせてチームで戦うというスタイルです。大きく分けて近接・中距離・遠距離に特化させて各員で役割分担をして対戦相手を攻略していくのですが、その道のりが実に本格的な実践を想定した物語が組まれています。この物語の主人公は一般的な戦闘員よりも戦闘力が弱く、自分より各上の相手ばかりの環境でまともに戦えば瞬時に落とされてしまいます。だいたいの漫画の主人公はぶっちぎりで強いか、弱くても努力をして短期間で一線級の使い手へとランクアップします。しかしこの漫画のリアルなところは、短期間の修行をしただけでは強くなることはなく、むしろ覚えた技をあてようとして思考の柔軟性を失い、弱くなるという本当に実践をこなしているかのような描写があります。努力とは目的を達成するためのものであって、見当違いの努力はただの現実逃避である。この言葉が表しているように、自身の努力という不確定な要素だけでは状況を変えることはできず、本当にチームを強くするためには具体的な手立てが必要であるという考え方が非常に印象的でした。それはきっと多くのスポーツや企業戦略において最も重要とされる考え方なのではないでしょうか?目標までの期間、実現できる戦略、その現実性など様々な要因を鑑み最適な戦略をたてる。単なる一時の戦闘シーンとしての戦略だけではなく、中・長期的な戦略を学ぶことができる漫画というのは今までにないものだと感じました。一つ残念なことは、作者が病気により長期休載されていたため、原作の進み具合が中断していたこと、再開したはいいが月刊誌に異動となったことでしょうか。しかし、再開してくれたことは本当に嬉しくまた楽しみなことでもあるので今後もぜひがんばっていただきたい作品の一つです。

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